都市部から山間部に移住して、はや6年が経とうとしています。都市部でシステムエンジニアをしていた頃には気づかなかったことについて考えてみました。都市部において企業の「IT投資」はごく自然な行為のように思えましたが、地方に身を置いてみると全く事情が異なっていました。
中〜大規模な企業が多く拠点を構える都市部に対して、地方では中小企業や個人事業がかなりの割合を占めます。

一都三県と大阪府に大企業の過半数が集中している。

(※東京0.85%、大阪府0.40%、愛知0.30%に対して

下位7県は0.13〜0.08%)

中小企業庁 平成17年度(2005年度)の
中小企業白書 より引用

そしてその事業者へのIT導入はほぼ進んでいません。(ITに投資可能な)資本が潤沢な大企業は地方に拠点を置いていないことに加え、資本が少ない傾向の中小企業はIT投資に消極的であることが理由として考えられます。

ソフトウェア投資額については大企業の3分の1に満たず、

また投資比率については
大企業の2分の1程度であり、大企業との差は依
然として存在する。

中小企業庁 平成29年度(2017年度)の
中小企業の動向 より引用

理由その1。
労働力はどんどん減少するから。 (地方こそ特に)
地方から都市部への人口流出は依然として続いており、地方の高齢化率は都市部のより高まっています。不足するリソースを補うのにITは有力な候補になります。

中小企業において深刻化する人手不足http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H30/h30/index.html

理由その2。
イナカは忙しい。労働時間を減らしたいから。
地方に移住して驚くのは、行政サービスが充実していない(と思えた)こと。納税者の少ない地方できめ細かい行政サービスは期待できません。「自治」が基本です。自分たちの手で自分たちの暮らしの環境を整える必要があります。例えば私の住む地区では共用の水路整備や道路の草刈り、獣害対策用の柵の修理などは住民の手で行います。イナカは忙しい、時間がいくらあっても足りない、というのはこんな理由もあるんですね。
ITに仕事を任せて、労働時間を削減する取り組みが有効であると考えます。

理由その3。
ITの投資対効果を知らない人が多いから。
投資額の大きさに躊躇して踏み出せない、という声をよく聞きます。一時的にキャッシュが減るのはやはり不安になります。しかも目には見えないモノなので、設備投資に比べて実感を得にくいことも不安を大きくさせているようです。
ITへの投資を複数フェーズに分割して、キャッシュフローを悪化させない工夫をさせることも可能です。また、投資することで得られるリターンをキチンと評価することも大切。機会損失の最小化や労働時間の削減、人件費や交通費の削減を数値化することで費用対効果をしっかりシミュレーションしてIT投資を検討すべきでしょう。

よくある、「◯◯すべき3つの理由」といったタイトルで記事を書いてみました。本当は3つでは足りないので、また機会を見つけて書いてみたいと思います。